オーディションによせて―2020

　わたしたちオフィスフレンチバロックは高いレベルでのコンサート開催を通じて、フランスバロック音楽に関心と意欲を持つ音楽家に対し、研鑽と実践の場を提供することを活動目的のひとつに掲げています。このたび、上記の活動趣旨に基づいてオーディションを開催し、公演にご出演いただく歌手を募集しております。

　今年は新型コロナウイルスの影響で多くの演奏会が中止となりました。これを機に音楽や音楽家が世界にとってどのような役割を果たすのか、と考えた人も多いのではないでしょうか。わたしたちオフィスフレンチバロックでも5月に予定していた演奏会が中止となりました。来年の演奏会でこれを再演することも検討しましたが、こんな時期こそ多くの声楽家にフランスバロック音楽を歌う機会を提供したいと思い、準備期間は短いものの、オーディションの開催を決定しました。

　今回はわたしたちにとって二年半ぶり、3回目のオーディションとなります。これまでのオーディションでは事前に演奏曲を決め、曲と役柄に相応しい方々にご出演いただきましたが、今回はまだ演奏曲目を決めていません。応募いただいた皆さんの声を聴かせてもらい、これに合った曲を決定したいと考えていますので、ぜひいろいろな声を聴かせてほしいと考えています。

　演奏会が来年無事に開催できるかどうかは不透明で、最終的にはいろいろな状況から判断することになります。ですので今回は、演奏会に向けた準備や学びも大切にできる人を募集します。多くの人にとってフランスバロック音楽は馴染みのないものでしょう。フランスバロック音楽には特有の様式や歌い方がありますし、バロック音楽を日頃歌っている人にとっても「難しい」とされます。今回は演奏会に向け、フランスバロック音楽に必要な歌い方を身につけながらリハーサルを進めます。新しいことに挑戦してみたいという方もぜひご応募ください。

　また、今回のオーディションでは皆さんに動画の撮影をお願いしています。慣れないことと思いますし、これによって参加をためらう方もいるでしょう。こちらはコロナ禍における新しいオーディションの形として、どうぞご理解ください。動画はスマートフォンなどで撮影したもので構いませんし、音源を聴きながら歌ったものでも、外の音が入ってしまっていても大丈夫です。わたしたちのオーディションは応募者を落とすためのものではなく、一緒に演奏する音楽家を探すオーディションです。曲のことなど、わからなければいつでも質問してください。みなさまのご応募お待ちしております。

　最後までお読みいただいてありがとうございました。ひとりでも多くの方に届きますよう、周知のため皆様のまわりにシェアしていただければ幸いです。

2020年9月4日 　村上惇

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